心房細動は、心筋のうち心房の筋肉が細かく無秩序に収縮するため心室の収縮が不規則となって不整脈を生じるもので、それには細動が一過性に出現する「発作性心房細動」と、細動が1週間以上持続する「持続性心房細動」があり、心不全の原因ともなるのです。
原因は、過度の飲酒や睡眠不足などといった生活習慣の乱れのほか心筋症・虚血性心疾患・甲状腺機能亢進症などが挙げられ、高齢になるほどその発症率は高くなります。
症状は、動悸・胸苦しさ・呼吸困難・疲れやすさ・めまいなどで、心房細動が続くと心房内に血栓が形成されやすくなるため、脳梗塞や腎梗塞などといった合併症を引き起こすこともあるのです。
私たちの身体には、酸素・二酸化炭素・栄養素・老廃物などを血液に乗せて運ぶ動脈・静脈という血管が全身に張り巡らされています。
また、それ以外にもリンパ液(組織液)がリンパ管内を巡行し、その途中には関所として免疫機構を担うリンパ節が各所に設けられています。
そして、それら血液やリンパ液を身体の隅々まで行き渡らせるために休まずポンプとして働き続けているのが心臓です。
最新の研究で鍼灸治療は、それら循環器に対し、様々な作用を示すことが分かってきました。
血液に対しては、赤血球・白血球・血小板を増加させるとともに、血管を拡張させて血流を改善し血圧を調整、出血に対しても血液凝固を促進し止血を促します。
神経系・免疫系・内分泌系に対しても生理学的に働きかけ、脈拍の正常化・抗体の増加・免疫活性・血液の抗酸化など、様々な作用を発動するのです。
それゆえ鍼灸治療は「心房細動」の症状である動悸・不整脈・胸部不快感・呼吸困難などに対し、強心作用や血流調整作用を用いて、それらの症状を軽減するとともに、神経系・内分泌系に対する生理学的作用により、心房細動を抑制し、脳梗塞や腎梗塞などといった合併症の併発も抑止するのです。