かぜ症候群とは、上気道が急性に炎症を起こしたものの総称と定義されており、空気が乾燥する冬に発病しやすい疾患です。
原因としては、ウイルス・細菌・マイコプラズマなどが挙げられ、そのうちウイルスによるものが90~95%を占めると言われています。また原因となるものによって症状は変化し、ライノウイルスなどでは鼻症状が顕著に現れ、アデノウイルスなどでは咽喉頭症状が強くなります。
症状は、鼻水や鼻づまりといった鼻症状、のどの痛みや声がかれるといった咽喉頭症状の他、咳・痰・悪寒・発熱・頭痛・全身倦怠などの症状を伴うこともあるのです。
感染症は、ウイルスや細菌などにより引き起こされる疾患で、私たちは白血球を中心とした免疫機構により、それら病原体を攻撃・排除しています。
特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、ウイルスや細菌をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に病原体を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた病原体をも攻撃するのです。
そしてその後、病原体を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で病原体を攻撃することとなります。
また好中球は細菌やカビなどを殺傷するとともに、リンパ球の一つであるB細胞はヘルパーT細胞の命令を受けて、その病原体(抗原)に対する抗体を産生し、その抗原の働きを止めてしまうのです。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はB細胞による抗体の産生能力を高めるだけでなく、ストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果も有しているため、様々な感染症の治癒を可能とするのです。
それゆえ鍼灸治療は「かぜ症候群」の症状である咳・痰・鼻水・鼻づまり・発熱などに対し、鍼灸治療の持つ消炎・抗炎症作用で症状を緩和するとともに、咽頭痛や頭痛に対しては鎮痛作用により痛みを改善します。