心筋梗塞は、冠動脈が血栓などにより急に閉塞した結果、心筋が不可逆的な壊死に陥った状態で、不安や恐怖をともなう激しい胸痛とともに胸が強く締め付けられ、冷や汗・吐き気・嘔吐・呼吸困難・意識障害などの症状が現れる疾患です。
発症時の胸の痛みは、数十分以上持続し数時間に及ぶこともあって死に至るケースも約10%と非常に高いのですが、高齢者や糖尿病を患っている人では痛みのない場合もあるのです。
またこの疾患は、疲労やストレス、過度な温度変化などをきっかけとする場合が多く、その発症率は男性が女性の2倍以上と高いのですが、閉経後75以上になるとその差はなくなります。
私たちの身体には、酸素・二酸化炭素・栄養素・老廃物などを血液に乗せて運ぶ動脈・静脈という血管が全身に張り巡らされています。
また、それ以外にもリンパ液(組織液)がリンパ管内を巡行し、その途中には関所として免疫機構を担うリンパ節が各所に設けられています。
そして、それら血液やリンパ液を身体の隅々まで行き渡らせるために休まずポンプとして働き続けているのが心臓です。
最新の研究で鍼灸治療は、それら循環器に対し、様々な作用を示すことが分かってきました。
血液に対しては、赤血球・白血球・血小板を増加させるとともに、血管を拡張させて血流を改善し血圧を調整、出血に対しても血液凝固を促進し止血を促します。
神経系・免疫系・内分泌系に対しても生理学的に働きかけ、脈拍の正常化・抗体の増加・免疫活性・血液の抗酸化など、様々な作用を発動するのです。
それゆえ鍼灸治療は、胸部の激痛・胸部圧迫感・冷や汗・吐き気・嘔吐などの症状を呈する「心筋梗塞」の発症を抑止するとともに、強心作用・コレステロール減少作用・血流改善機能を用いて心臓と血管の状態を改善するのです。