咽頭がん

咽頭がんとは

咽頭がんは、咽頭に発生する悪性の腫瘍で、EBウイルスが関与するとされる「上咽頭がん」、アルコール・たばこ・食物などの環境因子が関与するとされる「中咽頭がん」「下咽頭がん」に分かれ、近年ではパピローマウイルスの関与もあるとされています。

50歳以降に多く、その男女比は4:1と男性に多い疾患です。

上咽頭がんは、頸部腫瘤と耳症状などがよくみられ、頸部リンパ節転移も多いのが特徴です。また中咽頭がんでは、咽頭痛・嚥下痛・のどの腫れなどがみられ扁桃肥大と間違えられることもあります。そして下咽頭がんは、嚥下痛・咽頭痛・声のかすれなどの症状が現れるとともに、食道がんとの重複も多いのが特徴です。

鍼灸治療による咽頭がんに対するアプローチ

私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。

これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。

「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。

そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。

最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。

さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。

それゆえ鍼灸治療は「咽頭がん」の症状である嚥下痛や咽頭痛などの癌性疼痛に対し鍼灸治療の持つ鎮痛作用により、がんの痛みを緩和するとともに、止血作用により鼻出血などを軽減します。

咽頭がんの症状

◇ 上咽頭がん…頸部腫瘤・耳閉塞・難聴・鼻出血・鼻閉・頭痛 など ◇ 中咽頭がん…咽頭痛・嚥下痛・のどの腫れ など ◇ 下咽頭がん…嚥下痛・咽頭痛・声のかすれ など

咽頭がんの原因

◇ 上咽頭がん…EBウイルス など ◇ 中咽頭がん…パピローマウイルス・アルコール・たばこ・食物などの環境因子 ◇ 下咽頭がん…アルコール・たばこ・食物などの環境因子

咽頭がんの検査

鼻咽腔ファイバースコープ検査・上部消化管ファイバースコープ検査・CT検査・MRI検査・PET検査 など

咽頭がんの治療

放射線療法・化学療法・外科手術・鍼灸治療 など