肺炎は、肺炎球菌やマイコプラズマ、インフルエンザウイルスなどといった病原微生物の感染により肺が炎症を起こした状態で、風邪などをきっかけとして二次的に起こる場合が多く、高齢者では重症化して死に至ることもある注意を必要とする疾患です。
また肺炎はその起こる部位の違いにより、肺胞腔内に炎症の起こる「肺胞性肺炎」と肺胞と肺胞を隔てる壁である間質に炎症が起こる「間質性肺炎」の2つに大きく分けられます。
症状は、発熱や悪寒などといった感染症状とともに呼吸困難・咳・痰などの呼吸器症状もみられますが、胸膜炎を合併しない場合には通常、胸の痛みはみられません。
感染症は、ウイルスや細菌などにより引き起こされる疾患で、私たちは白血球を中心とした免疫機構により、それら病原体を攻撃・排除しています。
特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、ウイルスや細菌をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に病原体を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた病原体をも攻撃するのです。
そしてその後、病原体を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で病原体を攻撃することとなります。
また好中球は細菌やカビなどを殺傷するとともに、リンパ球の一つであるB細胞はヘルパーT細胞の命令を受けて、その病原体(抗原)に対する抗体を産生し、その抗原の働きを止めてしまうのです。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はB細胞による抗体の産生能力を高めるだけでなく、ストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果も有しているため、様々な感染症の治癒を可能とするのです。
それゆえ鍼灸治療は「肺炎」の症状である咳・痰・息苦しさ・発熱・悪寒などに対し、鍼灸治療の持つ消炎・抗炎症作用で症状を緩和するとともに、頭痛や胸痛に対しては鎮痛作用により痛みを改善します。