風疹は俗に「三日ばしか」とも呼ばれ、風疹ウイルスが上気道粘膜に飛沫感染することによって起こる感染症で、小学校の低・中学年に多く、5年ごとに大流行します。
症状は14~21日の潜伏期間を経て、リンパ節腫脹・発疹・発熱などが現れますが、まずリンパ節腫脹が先行してみられ、その後に発疹や発熱が出現します。しかし発熱は認められない場合もあり、認められた場合でも2~3日で解熱するのに対し、リンパ節腫脹は消失するのに3~6週間もかかると言われています。
風疹に対する特別な治療法はなく、安静にして水分・栄養を補給するだけでも予後良好です。
感染症は、ウイルスや細菌などにより引き起こされる疾患で、私たちは白血球を中心とした免疫機構により、それら病原体を攻撃・排除しています。
特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、ウイルスや細菌をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に病原体を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた病原体をも攻撃するのです。
そしてその後、病原体を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で病原体を攻撃することとなります。
また好中球は細菌やカビなどを殺傷するとともに、リンパ球の一つであるB細胞はヘルパーT細胞の命令を受けて、その病原体(抗原)に対する抗体を産生し、その抗原の働きを止めてしまうのです。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はB細胞による抗体の産生能力を高めるだけでなく、ストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果も有しているため、様々な感染症の治癒を可能とするのです。
それゆえ鍼灸治療は「風疹」の症状である発熱やリンパ節腫脹に対し、鍼灸治療の持つ消炎・抗炎症作用で症状を緩和するのです。