子宮体がんは、子宮に出来るがんのうち子宮体部(内膜)に発生する悪性の腫瘍で、それは子宮がん全体の約5%とされてきましたが、最近では増加傾向にあります。
好発年齢は50~60代で最も多く、未婚の人や初めての妊娠年齢が高い人、閉経した人などにその発生頻度が上がり、原因としては女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の関与が高いとされています。
症状としては、子宮体がんを発症した人のほとんどに不正性器出血がみられ、下腹部痛や帯下の異常なども現れますが、予後は比較的良く、初期がんの5年生存率は9割近くにのぼります。
私たちの体内では、実は健康な人であっても毎日5,000個くらいの「がん細胞」が作られてしまっているのです。
これは細胞再生の際におけるDNAのコピーミスなどによるもので、それらのほとんどは免疫機構により日々排除されています。しかし加齢やストレスなどにより免疫力が弱くなると、それらの「がん細胞」は増殖を繰り返し様々な部位に「がん」を発生させてしまうのです。
「がん細胞」の排除を行う主な担い手はリンパ球を中心とする白血球で、特にリンパ球に属するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は「がん細胞」をいち早く発見し、他の免疫系の指令を必要とすることなく単独で即座に「がん細胞」を殺傷します。NK細胞は別名「生まれながらの殺し屋」とも呼ばれ、他の免疫細胞の攻撃を免れた「がん細胞」をも攻撃するのです。
そして、その後「がん細胞」を貪食した樹状細胞やマクロファージからの指令を受けたヘルパーT細胞やキラーT細胞などがNK細胞に追随する形で「がん細胞」を攻撃することとなります。
最新の研究で鍼灸治療は、NK細胞・T細胞などのリンパ球を増加させ、それらの血液中への移行を促進する作用を示すとともに、その活性化を強く促すことが証明されています。
さらに、鍼灸治療はストレスなどによる免疫抑制に対する防止効果を有するため、免疫系を調節することにより「がん」の発生を抑止し、またその増殖を抑制することが可能となるのです。
それゆえ鍼灸治療は「子宮体がん」の症状である下腹部痛に対し、鍼灸治療の持つ鎮痛作用で癌性疼痛を緩和するとともに、止血作用により不正性器出血などの症状を軽減します。