狭心症は、心臓を栄養する冠動脈が急な痙攣や動脈硬化などにより狭窄を起こした結果、心臓が一過性に虚血状態に陥り胸痛が起こるもので、それには冠動脈の75%以上が狭窄し労作時に痛みが起こる「労作狭心症」と、狭窄が進行して95%以上となった安静時でも痛みが認められる「安静狭心症」があります。
狭心症を引き起こす危険因子としては、肥満・高血圧・高脂血症・喫煙・ストレスなどがあり、発症時の胸の痛みは前胸部を中心に、左肩や背部へと放散する強い圧迫感と絞扼感を伴うもので、それは数分~15分くらいで治まります。また、繰り返し起こる狭心症は心筋梗塞へと移行する危険性が高いため注意が必要です。
私たちの身体には、酸素・二酸化炭素・栄養素・老廃物などを血液に乗せて運ぶ動脈・静脈という血管が全身に張り巡らされています。
また、それ以外にもリンパ液(組織液)がリンパ管内を巡行し、その途中には関所として免疫機構を担うリンパ節が各所に設けられています。
そして、それら血液やリンパ液を身体の隅々まで行き渡らせるために休まずポンプとして働き続けているのが心臓です。
最新の研究で鍼灸治療は、それら循環器に対し、様々な作用を示すことが分かってきました。
血液に対しては、赤血球・白血球・血小板を増加させるとともに、血管を拡張させて血流を改善し血圧を調整、出血に対しても血液凝固を促進し止血を促します。
神経系・免疫系・内分泌系に対しても生理学的に働きかけ、脈拍の正常化・抗体の増加・免疫活性・血液の抗酸化など、様々な作用を発動するのです。
それゆえ鍼灸治療は「狭心症」の症状である胸痛・背部痛・左肩痛などに対し、鎮痛作用で痛みを緩和するとともに、血流改善・コレステロール減少作用により、狭心症の進行を抑制し、動悸・不整脈・胸部圧迫感などの症状を軽減するのです。